CSS Nite LP52 「ウェブサイト制作、手を動かす前に考えておくこと」レポート(後編)

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CSS Nite感想とレポートです。こっちは後編です。前半はこちらです。
私個人の意見や捉え方も入ります。また、伝えたい点に絞ってレポートしてます。戦略の話が多く、自分の作ってるものは「誰のためになぜ存在するのか」制作に関わる方々に是非興味を持っていただきたいです。

どんな会なのか

LPシリーズの52弾は 「ウェブサイト制作、手を動かす前に考えておくこと」をテーマに、制作以外の付加価値をどこにおくのか。また、どう見せていくのかについて考えます(企画背景)
イベントページより

クライアントワークをうまく進める5つの視点

益子 貴寛さん 株式会社まぼろし

ウェブサイトの価値は戦略で決まる。価値をデザインする。

  • お客さんとの対等な関係。自信を持って、お客さんの言う通りではなく一緒に考える。イコールパートナーシップ
  • イコールパートナーシップのための案
    • 相手が満足してくれる仕事をする
    • 受け身ではなく提案型の仕事を心がける
    • 退社時間後や休日の対応は断る(ごくごく例外的にとどめる)
    • 遠慮せず、グイグイとリードする、困ったときには助けて差し上げる
  • 必殺ワード「そこはプロなんで大丈夫です」
  • 発注者も受注者も2案件目からはコミュニケーションコストが大きく下がる。
    • 業務委託契約や秘密保持契約などの事務コストも大幅に減らせる。
    • その会社らしさを理解できることは、強い武器。
  • 担当者の移動の際はきちんと後任者と繋いでもらう。
    • ウェブサイトについて後任者よりより頼られる。また、担当者の転職はクライアントを増やすチャンス。
    • 担当者が転職先でウェブ担当になった時、お声がかかる可能性ある。

コミュニケーションツール選び

  • クライアントのリテラシーレベルを引き上げる工夫をする。
    • プロジェクト管理ツールの操作説明会をクライアント向けに開くなど。はじめは大変だけど、その後数ヶ月続くプロジェクトがスムーズに進むようになる。
  • チャットツールをタスク管理に使うのはNG。
    • チャットツールは回転寿司のように情報が流れてしまう。
    • タスク管理では、タスク名、担当者、ステータスの指定が不可欠。

打ち合わせで大切なこと

  • Brandon K.Hill さんの『海外から見た日本式ミーティングの謎』の記事
  • 特に、何も決まらない、アジェンダ(何を決めるか)がない、などがよくある。決めないならばミーティングは必要ない。
  • 打ち合わせは『決断をする場』。決定事項は関係者に速やかに共有し、タスクは、きちんと担当者を割り振る。
  • 決定事項は 関係者に速やかに共有
    • アジェンダ共有は心がけています。
    • 課題と必要な決め事を併記。抜け漏れなくてクライアントも安心してくれる。
  • 議事録はすぐに出す。8、9割でも良い。

スムーズなプロジェクト進行

  • ペルソナのないプロジェクトは成功しない
    • 誰になにを伝えるか。の一番大事なポイントは「ペルソナ!」
    • 物事の良し悪しを決めるのは、「あなたでも私でもないんです!ペルソナです!」
    • 必殺フレーズ「私はいいんですけど、ペルソナはどう思いますか?」
  • 公開時のタスクはプロジェクト前半に洗い出しておく
    • プロジェクトの「終わらせ方」を、関係者で早めにイメージしておく
  • プロモーションサイトでなければ 公開日は意外とズラせる
  • 公開日を月末にしない。公開が月をまだいでしまうと、請求が1か月おくれる
  • 上限予算をできるだけ聞き出す。それ以上出せないという額がわかれば、見積もりの見通しが立てやすい。
  • 必殺フレーズ「で、どのくらいご用意できそうですか?」

私の感想など

必殺フレーズをみんなで言うターンと、周囲の4人で話し合う時間はとても面白かったです。私の周りでは「お客さんと他人任せにせず対等に一緒にやる意識」「変更などの共有をこまめにすること」を皆さん大切にされてました。
提案型の仕事をする人はあまりいない印象でした。

「ペルソナはどう思うのか」という、ペルソナに聞くという姿勢を次の仕事で最初に意思決定の軸として伝えたいです。 (とはいえ、ペルソナがどう思うかの仮説がお互いでズレることもあって中々イヤハヤ…)

心がけ含めて、実務にすぐ活かせそうな話が盛りだくさんでした。

築城10年、落城3日。 こだわりあるWebデザイン、やるからには本気で良いものを!

中川 直樹さん 株式会社アンティー・ファクトリー

ブランド構築、イメージボード開発、ウェブサイトデザイン設計の3項目でしたがスライドがないと伝えるのが難しいところは記述してません

好き嫌い・良し悪しの軸

  • 多くの人はデザインを好き嫌いで判断する。
  • デザイン開発における相互間の確認
    • 相互間にデザインを語る共通言語があるか
    • デザインの良し悪しの判断基準があるか
    • デザインの決定プロセスが的確か?
    • デザインがなんとなく上手、だけでは解決になってない

ブランドパーソナリティ・サイトパーソナリティの考え方

  • ブランド構築
    • 5軸に合わせ、世間のイメージと、本来の理想のイメージの差異を確認
      • パーソナリティ
      • 心理的価値
      • 情緒的価値
      • 機能価値
      • 事実・属性
    • ブランド・パーソナリティを「マインド、見た目、行動」3つの要素に分けて考察・策定
    • ブランドを人にたとえて、キーワードを出す。
    • そこから掘り下げてイメージを確立させる。
  • 「イメージボード開発」
    • ディスカッションで、ビジュアルキーワードを出し、イメージボードを作成
  • 「ウェブサイトデザイン設計」
    • ブランド構築で作ったブランドパーソナリティを、サイト構築にも落とし込む
    • ペルソナの策定やシナリオを考察する。
    • ブランドイメージと、サイトの戦略が統一して展開される。
  • 私の感想など

    MATSUYA GINZA、KEN WOOD、NTTなどのVIを手がけた中西さんという方も、同じくクライアントの社内でまず調査をしてました。外部との差異を埋めるために「自社は”こういう会社なのだ”」と全員が言える意思の統一が戦略の鍵なのかも。大事なことを明確に分析できる「カタ」を教えていただきました。

    またブランドを人で例えるのは面白いお話だと思いました。
    CI(コーポレートアイデンティティ)はそもそも、MI(マインド)BI(行動)VI(見た目)から構築されるもので、人みたい。ですよね。それをそのままクライアントさんに伝えるって、目からウロコでした。

マーケティングオートメーションで実現する、Web戦略の実行
〜マーケティングオートメーションは、ウェブ制作者を戦略パートナーにするか?〜

志水 哲也さん 株式会社タービン・インタラクティブ

マーケティングオートメーションをMAと略しますね。

ベテラン営業マンと若手WEB担当者がコンビを組んだら

  • ベテラン営業マンと若手WEB担当者がコンビを組んだら、という著作のマンガ紹介。(後でちゃんと繋がります)
  • 泥臭さを大切にする(でもデータを見てくれない)営業マンと、対立しないで手を取り合えるお話
  • ターゲットは営業マン。営業の人にこそデータを活かして欲しくて書いたのだとか

MAの良いところ

  • MAはマーケティングの各プロセスにおけるアクションを自動化するためのプラットフォーム。
  • 顧客と見込み顧客との間で発生したアクションをデータベースに記録・分析し、設定したプログラムをもとに動作させることで『最適なコンテンツを、最適なタイミングで、最適な方法で届ける』ために利用されている。
  • MAの背景 ハーバード・ビジネス・レビューで、購入プロセスの57%が、顧客サイトですでに完了している、というレポートが発表されている。 比較検討のための情報はインターネット上にあり、主導権は顧客側にある。

実際にできること

  • MAシステムを使うことで、見込み客がサイト閲覧やメール開封、SNSへの反応などをした時に通知を受け取れる。
  • システムに登録される見込み顧客の情報は相手自身がフォームなどを通じて登録したもの。相手の反応、状況に合わせてステータスを管理できる。
    • マーケティングファネル リードジェネレーション(見込み客の創出) 
    • リードナーチャリング(見込み客の育成)
    • リードクオリフィケーション(見込み客の抽出)
    • セールスファネル(見込み客の顧客化)
  • ステージに合わせたコンテンツ戦略(ファネルについて)
    • Tofu(Top of funnel):発見・きっかけ→見込み客創出
    • Mofu(Middle of funnel):学習・検討材料→見込み客育成
    • Bofu(Bottom of funnel):強化・不安払拭→顧客化

MAを戦略パートナーに。

  • BtoBサイトこそ、ペルソナは重要。そして、カスタマージャーニーを作る。
  • Webサイトへのアクセスは一瞬。それ以外も考える。数ヶ月のスパンが必要となる。
  • 戦略ワークショップでは『営業部署』の参加が重要である。」
  • 営業の成果を『今日はどうだったかなッ?』とチェックするシステムはまだ少ない。どうしても腰が重くなる。MAシステムを活用することで前向きに確認できる
  • マーケティングオートメーションで、制作者は「戦略パートナー」になれるか。その答えはYES。戦略思考の制作者にはチャンス。
  • クライアントと共通言語になるメソッドとツールを持てる。
  • 解析や改善ノウハウが活きる。習得には時間が必要なのでまずは自社運用から
  • 風を読もう。戦略を握ることができる、リスペクトされるクリエイターに。

私の感想など

MAはデータをまとめる「作業」や反応に対する「報告」を自動で、こまめにしてくれる、心強い味方なのですね。

MAについては以前から気になっていて一度別のセミナーにも参加したのですが、ついていけずちんぷんかんぷん…今日の話はちゃんと楽しめました。MA可愛い。大好きです。私がインハウスで働いてたら社内にMAを紹介してたと思います。

ファネルの考え方がとても面白かったです。ちゃんとチームで向き合うことで、ファネルの仕組みや考えや戦略が活かされて、見込み顧客を顧客化するのですね。

長くなったので、前半後半に分けました。

後半もやっぱり「誰に何を伝えるのか」を大切にされている事がよーく伝わってきました。普段フロント周りのセミナーばかり聞きに行っているという事もあって、マーケティング系のセミナーがこんなに楽しいなんて…と思うぐらい「ウンウン」って聞いてました。

レポートって本当まとめるの難しい…。いいところが伝わってたり、興味を持ってもらえると嬉しいなあと思いました。読んでくださってありがとうございました。

前半はこちらです。

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たじま ちはる

画像:たじまちはる

マーケティングとデザイン

ヒトとモノとコトを最適な形で伝えるために、戦略、マーケティングを理解し、目的を達成するためのデザインを行う。
デザインの設計という面を伝えること、デザインとその周囲をつなげていくために、登壇や個人メディアでの発信にも力を入れている。