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Back ground story

おいしいを諦めない!トップシェア、おいしい牛乳を紐解く

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meijimilk
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乳製品業界は2000年からmeiji、森永、メグミルク(雪印/2000年以前のトップシェア(※1))が業界3強でした。ところがある日「meiji おいしい牛乳(以下/おいしい牛乳)」が衝撃のデビューを果たし、そこからトップを走り続けます。(※2)さあ、おいしい牛乳の裏側を読み取り、トップシェアの理由をさぐりましょう!

※1雪印の食中毒事件以前はトップシェアだった。 ※2meijiのサイト内にて表記あり。データあり。

01.「牛乳を嫌う人」を諦めなかったmeiji

牛乳嫌いの理由を取り除く顧客視点の開発

味に差がないと言われ差別化が難しかった牛乳ですが、meijiは諦めず「おいしい牛乳を作りたい」と、牛乳嫌いな人の声に目を向け「乳臭さ」と「ベタつき」の解消に目を向けました。

数年かけて開発部が気づいた味の変化

開発部は数年かけて原因調査を行い、ある産地の牛乳を冷蔵庫で数日保管し、保管前と飲み比べて原因に気づきました。「確かにおいしいが、風味が落ち少し酸化臭がした」のです。 酸素が原因と気づいた開発部はそのままの味を届けるため、酸素を減らす「ナチュラルテイスト製法」を編み出しました。

02.ネーミングブームの流れを断ち切った

市場ではネーミングに変化が現れていました。 「メグミルク」のように短く分かりすい品名から、時代背景(※3)もあり「◯◯牧場の◯◯さんが作ったお肉」「◯◯さんが◯◯で作ったまろやかなシチュー」など詳細にイメージを伝える長いネーミングに変化を遂げます。

入浴剤では温泉をイメージさせる「◯◯の湯」から、効果を伝える「きき湯」「アロマバス」などが出てくるように、より顧客の求めるものを探る傾向が見えました。 商品名が変化していく中、自信に満ちた明確な名前の「おいしい牛乳」が発売されると瞬く間に話題をさらいました。ネーミングブームの流れを断ち切るような衝撃を与えたのです。

(※3)2000年ごろから、生産場所・生産者を記載する表記ルールが加工食品業界で広がり始めた。

03.定説ではなく、そのまま伝える形を選んだ

おいしい牛乳のデザインコンセプトは「そのままの味」です。開発方法や理由も知った上で、佐藤卓さんがディレクションを行いました。

少し話は逸れますが、佐藤卓さんは独立前に株式会社電通にて、ウイスキーの仕事に関わり「飲みたいものが無いから」と、商品開発からネーミング、パッケージ、販促までプレゼンをして仕事に繋げた方です。ちゃんと「物を理解」しないと顧客に届かないという現実を肌で知るディレクターです。

定番より「物にあった見せ方」が人に伝わる。

「グラフィカル」か「牧場のイメージ」か…。牛乳パッケージの定番といえる方向性二つを思い浮かべた佐藤さんでしたが「この商品はそのままを届けることだ」と思ったからこそ、どちらの道も辿らせませんでした。

毎日飲める飲料として日常に溶け込むシンプルさを前提に、ユーザーアンケートで取り入れた「清潔感」と「牛乳らしい色」の青を取り入れました。

初めての取り組み「牛乳のシズル」

牛乳そのままを届ける「牛乳のシズル」は業界でもおそらく初めての取り組みでした。それまでは写真の入ったものは牧場のイメージがほとんどだったのです。

牛乳のシズル

04.デザインは整理とその場所で輝ける相対性

製品パッケージには載せないといけない情報が多々あります。(景品表示法と深く関わりがあります。)

シンプルでそのままな風貌を保つための情報整理、売り場での見え方と目線の動きを考え0.1mmまで高さにこだわったレイアウト、少しずつ手を入れた丸みのある書体。初めての取り組みだったシズル感を目立たせるよりも商品名である「おいしい牛乳」を目立たせ、ユーザーに伝えるべき順序を守りました。

とにかくユーザーが自然に触れるデザインを追求したのです。

ゴールデンゾーン

「目立つというのは、「大きくする」「派手な色をつける」「ほかにないことをやる」というようなことだけではありません。周りがいろいろやっているのなら、何もしないほうが目立つこともある。目立つというのは相対的なことです。」
-佐藤卓

05.王者の模倣的「森永のおいしい牛乳」戦略

マーケティングには「王者の模倣」と呼ばれる戦略があります。チャレンジャーの個性を、王者が模倣し無力化するように、森永もまた別の製法で酸素を取り除き「森永のおいしい牛乳」を作りました。
味としての勝負は人によって変わるのでしょうが、市場の勝負では2位ともいかず、3位以下を走る形に落ち着きました。
最初にできたイメージを似せても、なかなか覆すのは難しいのだと思います。

06.まとめ

諦めずに努力を続け、消費者に向き合ったmeiji。 これだけの努力を重ねながらも、受け取る相手に語りすぎず、気持ちに寄り添ってスッとユーザーに入り込み、おいしい味わいを届ける「おいしい牛乳」は今もトップシェアを走り続けています。

・要求分析(顧客へのインタビューと分析)
・ネーミング(名前の決め方)
・ゴールデンゾーン(売り場と目線に合わせたレイアウト)
・王者の模倣(模倣することで、相手の個性を無力化する)
・ベンチマーキング(優れた競合他社の分析・比較)

美味しい牛乳のプロフィール
つくった人
企業:meiji
ディレクター:佐藤卓
作られた日
2003年 09月 30日
分類すると
食品パッケージ
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